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STANLEY CLARKE TRIO

artist CAMERON GRAVES , STANLEY CLARKE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

2020年のブルーノート東京はボブ・ジェームスとカーク・ウェイラムの快演+鏡開きで幕を開けました。そして1月3日からは、人気ベーシストのスタンリー・クラークが登場中です(5日まで)。しかも今回は待望のニュー・プロジェクト、楽器編成もこれまでの彼の傾向とは一味異なるユニークなものです。

スタンリーは中央でベースを弾きまくり、向かって左側にはカマシ・ワシントンとの共演でも知られるキャメロン・グレイヴス(シンセサイザー、ピアノ)、右側にはアフガニスタン出身のサラー・ナダー(タブラ他)が位置します。名匠ザキール・フセインに学んだというサラーはタブラを軸に、シンバル、ウィンドチャイムなども並べた独自のセットで生きのいいリズムを奏でます。幻想的なイントロダクションに続いて始まったのは、チャールズ・ミンガスが書いた「Goodbye Pork Pie Hat」。スタンリーはエレクトリック・ベースでメロディを奏で、やがてコード弾きやハーモニクスも織り交ぜた怒涛のソロへと突入します。その間キャメロンは鍵盤でベース・ラインを担当、サラーの粒立ちの良いトーンがスタンリーの速弾きに絡みます。

アップライト・ベースでも、スタンリーの"ファスト・ハンズ"ぶりは際立つばかりです。エフェクターを活用しながら、エコーを深くかけた弓弾きあり、ディストーションをかけたかのような音色で繰り広げられるコード弾きやスラッピングあり、楽器の胴体だけではなくネックも叩きながらのアプローチあり、右手を使わず左手だけで行なうピチカート奏法あり、と、多彩な奏法で場内を沸かせました。「La Canción de Sofia」ではきわめて抒情的でメロディアスなベース・プレイを展開し(キャメロンのクラシカルなピアノ・タッチも圧巻でした)、十八番の「No Mystery」ではキャメロンと見事なユニゾンを演じつつ、後半ではサラーと鮮やかな掛け合いを繰り広げました。「もうそろそろエンディング・テーマに戻るタイミングだな」と思いきや、今度はサラーがボル(Bol。リズムを表す北インドのスキャットといえばいいでしょうか)を口ずさみながら華麗なタブラ・ソロを披露。"こんな「No Mystery」は聴いたことがない!"と声をあげたくなったのは、ぼくだけではないはずです。

オーラスは大人気曲の「School Days」。エレクトリック・ベースのコード弾きが冴えるロックンロール調のナンバーとしてスタンリーのファンには定着しているはずですが、これもドラムスではなくタブラが入ることで様相が変わります。さて、どうサウンドが変化しているのか? これはもう、実際に体験していただくしかありません。またキャメロン・グレイヴスは2月15日と16日、今度は自身のユニットでブルーノート東京に登場します。巨匠スタンリーと、彼の認める気鋭たちは、今年も音楽シーンを豊かにしてくれることでしょう。

(原田 2020 1.4)

Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2020 1.3 FRI.
1st & 2nd
1. INTRO
2. GOODBYE PORK PIE HAT
3. BRAZILIAN LOVE AFFAIR
4. CAMERON'S IMPROVISATION
5. LA CANCIÓN DE SOFIA
6. NO MYSTERY
EC. SCHOOL DAYS

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