2020 2.6 thu., 2.7 fri., 2.8 sat.
MONTY ALEXANDER "Wareika Hill" & "A Celebration of Bob Marley's 75th Anniversary"
artist MONTY ALEXANDER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
1944年ジャマイカのキングストンに生まれ、'61年に渡米。オスカー・ピーターソン直系のジャズ・ピアニストとして華やかな活動を続ける一方、故郷の音楽を取り入れたサウンドづくりでも支持されてきた才人がモンティ・アレキサンダーです。ギター奏者アーネスト・ラングリンとのコンビ、スティール・パンと合奏した"アイヴォリー・アンド・スティール"、スライ&ロビーとのコラボレーションなど数々のプロジェクトで独自の"カリビアン・ジャズ"を届けてきたモンティですが、今回はコートニー・パインらと共演したトロンボーン奏者デニス・ロリンズ、ビリー・ハートに師事しアンブローズ・アキンムシーレのバンドでも目覚ましく活動するドラマーのジェイソン・ブラウン等を含む興味深いラインナップで登場しています。公演テーマはボブ・マーリー(モンティは『Concrete Jungle』、『Stir It Up』というトリビュート作を出しています)と、モンティの最新作『Wareika Hill』のテーマであるセロニアス・モンクです。
ライヴは、ボブ・マーリーに捧げたナンバーの数々から始まりました。この初日公演が行なわれた2月6日は、ちょうど彼の誕生日でした。生きていたら75歳。メンバーと観客が一緒に"ハッピー・バースデイ、ボブ・マーリー"と歌い、「Lively Up Yourself」、もうひとりのドラマーであるカール・ライトがリード・ヴォーカルをとる「Jammin'」、デニスが歌う「Is This Love?」、ベーシストのレオン・ダンカンがコクのある声を響かせる「No Woman, No Cry」などが次々と繰り広げられました。モンティはアコースティック・ピアノとシンセサイザー(主にオルガンの音を出します)を兼用し、盛んにバンド・メンバーにサインを出します。曲目も、ソロの順番も、すべてモンティがその場で指示しています。時折リズム隊が休止して、ソリストの無伴奏プレイが浮かび上がる瞬間も実にスリリングでした。また「Concrete Jungle」ではいわゆるマイナー・ブルースのコード進行に乗せて、モンティと、ベル(朝顔)が30度ほど上向きになったユニークな楽器を持つデニスがたっぷりアドリブを繰り広げました。
プログラム後半はセロニアス・モンク関連曲集です。モンティは少年の頃からモンクの大ファンだったとのことです。彼の楽曲の持つリズム、ユニークなメロディ・ラインにジャマイカの音楽を組み合わせてみようという発想が、ニュー・アルバムにつながったのでした。"これはとてもアンユージュアルな曲なんだ"という前置きで始まったのは「Brilliant Corners」。個人的にはDos Monosが「in 20XX」に使用したことで一気に再評価が進んだ楽曲という印象を持つのですが、モンティたちは奇天烈だけど妙にキャッチ―でグルーヴ感のあるこの曲を軽やかに料理し、「Well You Needn't」、「Blue Monk」へとつなげていきます。オーラスは再びボブ・マーリーの楽曲で「No More Trouble」、「Waiting In Vain」。ジャズとレゲエの幸せな出会いは、8日まで続きます。
(原田 2020 2.7)
Photo by Takuo Sato
2020 2.6 THU.
1st | |
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1. | HAPPY BIRTHDAY SONG (FOR BOB MARLEY) |
2. | LIVELY UP YOURSELF |
3. | JAMMIN' |
4. | COULD YOU BE LOVED 〜 REGULATOR |
5. | IS THIS LOVE |
6. | NO WOMAN, NO CRY |
7. | BRILLIANT CORNERS |
8. | WELL YOU NEEDN'T |
9. | BLUE MONK |
10. | NO MORE TROUBLE |
11. | WAITING IN VAIN |
2nd | |
1. | HAPPY BIRTHDAY SONG (FOR BOB MARLEY) |
2. | LIVELY UP YOURSELF |
3. | SIMMER DOWN |
4. | IS THIS LOVE |
5. | COULD YOU BE LOVED |
6. | NO WOMAN, NO CRY |
7. | NO MORE TROUBLE |
8. | WAITING IN VAIN |
9. | THREE LITTLE BIRDS |
10. | MISTERIOSO |
11. | ONE LOVE |
EC. | THE BANANA BOAT SONG |