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The EXP Series #35 / CAMERON GRAVES

artist CAMERON GRAVES

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


スタンリー・クラーク、カマシ・ワシントン、ドクター・ドレ―、ジェイダ・ピンケット・スミス(ウィル・スミスの妻)らと共演。デトロイト・ジャズ・フェスティヴァルで"現代のジャズ・シーンに嵐を呼ぶ男"と紹介された鬼才キャメロン・グレイヴスが、ついに自身のグループでブルーノート東京にやってきました。去る1月にスタンリー・クラークのバンドでやってきて、目の覚めるような快演を聴かせてくれたばかりのグレイヴスですが、その公演に足を運んだ方も、今回初めて生演奏に触れるという方も、どちらもノックアウトされるに違いありません。まさに血沸き肉躍る、ある時は空高く宇宙にまで連れていかれるような、またある時は地中深くに吸い込まれるような、先鋭的かつ土臭く、自由奔放かつ様式美いっぱいの世界を味わわせてくれます。

共演メンバーは、6弦ギターと8弦ギターを操るスウィープ・ピッキングの達人コリン・クック、6弦ベースのマックス・ギル(自身のアルバム『Tbilisi』も強烈です)、そしてドラマーは"Blaque Dynamite"こと怪傑マイク・ミッチェルです。かつてモノネオンをフィーチャーしたアルバム『Wifi』や自身の歌をフィーチャーした『Killing Bugs』を発表し、エリカ・バドゥの来日公演にも参加していた彼の信じられないほどの手数足数王ぶり、会場の屋根ごと吹っ飛ばすのではないかと思えるほどの圧を感じさせる超絶迫力プレイを、手の届くような近距離で見ることができるのは本当に快挙です。押し寄せてくるような2バスドラムの連続キック、間隔が10センチは開いていそうなハイハットへの繊細にして大胆な打撃。髪を振り乱しての演奏ぶりも含めて、鳥肌を徹底的に立たせてくれました。

8月にようやくリリースされるという新作『Seven』収録予定曲を中心に、2017年に登場した『Planetary Prince』からの「Satania Our Solar System」や「The End of Corporatism」も混ぜたセットリストは、流れといい起伏といい、まさに手に汗握るもの。メタル、ファンク、クラシカル的要素が次々と現れてはジャズのスリルとぶつかり、会場に熱狂の雨を降らせます。グレイヴスはバンドの音量とのバランスも考えてか、一丸となって燃え上がる部分ではシンセサイザーを弾きまくり、インタールード的な箇所ではアコースティック・ピアノを用いてつづれ織りのような演奏を繰り広げました。その中にふと、ビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンなども取り上げたスタンダード・ナンバー「On Green Dolphin Street」の一節が出てきたのも、個人的には嬉しかった部分です。

背中に"Revolt"(反乱)と書かれたジャケットを着て、オーディエンスを圧倒しつくしたキャメロン・グレイヴス。必聴必見のステージは本日も開催されます。そして17日からは、カッサ・オーバーオールが登場。まさに「今、これを観ないでどうする!」状態なのが今のブルーノート東京なのです。
(原田 2020 2.16)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2020 2.15 SAT.
1st & 2nd
1. ETERNAL PARADISE
2. RED
3. SEVEN SUPER UNIVERSES
4. SATANIA OUR SOLAR SYSTEM
5. SEVEN MASTER SPIRITS
6. SEVEN SONS OF CREATION
7. LIFE CARRIERS
8. SEVEN MANSION WORLDS
9. SEVEN CELESTIAL ARTISANS
10. THE END OF CORPORATISM

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