2020 3.3 tue., 3.4 wed.
CORY HENRY & THE FUNK APOSTLES
artist CORY HENRY
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
スピリチュアルズ、ゴスペル、ジャズ、ブルース、ファンク、ヒップホップが仲良く共存しながら"歓喜の音"を奏でる。それがコリー・ヘンリーのステージです。ケニー・ギャレットのバンドやスナーキー・パピーの一員としても鮮やかなプレイを繰り広げてきた彼が、本日まで自身のグループ"コリー・ヘンリー&ザ・ファンク・アポストルズ"を率いて登場しています。
ステージにはハモンド・オルガン、ミニ・モーグ、フェンダー・ローズ等が設置されています。コリーは、まず無伴奏オルガン・プレイを始めました。故ジミー・スミス(20世紀ジャズ・オルガンの象徴)がテーマ・メロディに入る前に時たま行なっていたルバート(時に猛烈な速弾きパートを含む)風パートを経て、丸みのあるトーンを持つシャレイ・リードのベース(YouTubeで公開されている、ウェイン・クランツの「Signals」に合わせて弾く動画も必見です)、バック・ビートの利いたタロン・ロケットのドラムスが合流します。「Mary Don't You Weep」(アレサ・フランクリンやプリンスもとりあげたゴスペル・ソング)を思わせるナンバーをじっくり繰り広げたあと、休みなく4ビートのブルース・コードへ。ジャズ・オルガンへの愛がほとばしるようなアドリブが痛快です。
続いてふたりの女性シンガー、タマラ・フィンガルとフィリシャ・ミッチェルがステージに登場します。曲は'70年代の大ヒット映画『サタデー・ナイト・フィーバー』から、ビー・ジーズの「Stayin' Alive」。一世を風靡したディスコの古典が、濃厚なゴスペル~ソウル・ミュージックの衣をまとって蘇りました。熱唱するタマラとフィリシャに、低音でハモリを入れるコリーの歌のうまさにも改めて感服させられます。彼はさらに、ハモンド・オルガンの鍵盤を左手で押さえて和音を出しつつ、右手でミニ・モーグの単音ソロを展開。自らを鼓舞するように"オーッ"と声をあげながら、何かにとりつかれたかのように弾きまくりました。以降、エンディングまで「Takes All Time」、「Lord Send Me A Sign」と、"これが聴きたかったんだ"的ナンバーが続きます。いくつものキーボードを操作しつつ熱唱するコリー(掌の月丘側を鍵盤にほぼ90度上に立て、猛烈な速度で鍵盤を滑らせるグリッサンド奏法も圧巻!)、骨太な彩りを加えるコーラス、巨大なラグビーボールが転がるかのようにうねるリズム・セクションが一体となって、ポジティヴな空気をまき散らしました。オーラスは、ベスト・セラー作品『The Revival』に入っている「NaaNaaNaa」。"これはハッピー・ソングなんだ、みんなにも歌ってほしい"という声に促され、場内は合唱の渦に。"音楽は世界言語なんだ"と語るコリー・ヘンリーの暖かく豊かな世界に、誰もが時を忘れて没入したのではないでしょうか。
(原田 2020 3.4)
Photo by Makoto Ebi
2020 3.3 TUE.
1st | |
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1. | MARY DON’T YOU WEEP |
2. | STAYIN’ ALIVE |
3. | LIFE’S GOING NOWHERE |
4. | TAKES ALL TIME |
5. | OUR AFFAIRS |
6. | LORD SEND ME A SIGN |
7. | NAANAANAA |
2nd | |
1. | WHAT’S GOING ON |
2. | OLEO |
3. | I FEEL ALRIGHT |
4. | LOVE WILL FIND A WAY |
5. | SOMETHING IN THE WATER |
6. | HAPPY DAYS |
7. | RISE |
8. | SEND ME A SIGN |
9. | NAANAANAA |