原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ミュージシャンとオーディエンス双方の「会いたかった」という気持ちがひとつになって、果てしない高みに達したといっていいステージです。充実を極めたパフォーマンス、ポップでキャッチーなメロディ・ライン、徹底的にファンキーな音作りを全身で浴びていると、ごく自然に体が動き出し、笑顔が広がっていくことを止められません。キャンディ・ダルファーが会心のニュー・アルバム『We Never Stop』（ナイル・ロジャース、マーカス・ミラー、ドゥランド・ベルナール、フィリップ・ラシータ等も参加）を携えて、昨日から3年ぶりにブルーノート東京を湧かせています。

もちろんキャンディはアルト・サックス、ヴォーカル、MCで大活躍。一瞬一秒も立ち止まることなく華やかにパフォーマンスし、ふたりの男性ヴォーカリストであるイヴァン・ペロティ、カミロ・ロドリゲスとの息もぴったり。いきなり「YeahYeahYeah」や「Say Something」等、惜しげもなく『We Never Stop』からの曲を放ちます。ユニゾンでかっこよく歌い上げるパートがあると思えば、粘っこいハーモニー（ふと『Mothership Connection』の頃のパーラメントを思い出しました）でも酔わせ、さらに覚えやすい振り付けで観客をいつしか"振りコピ"状態にします。しかも今回の公演、リズム・セクションが猛烈なドライヴ感を誇るのです。初来日となるザンダー・ブベロットが奏でる躍動するベースと、徹底的にスネアとバスドラを重視したプレイでソリストを煽り立てるキック・ワウダストラのドラムが織りなすコンビネーションは至高です。キックの演奏するドラム・セット自体は非常にシンプルなものですが、そのトーンは実に多彩で、しかもバチバチに硬く張っていて粒が揃っています。このリズムに乗って演奏し、歌うことは演者にとってたまらなく気持ちよいことでしょう。

デビューの頃から大切に演奏し続けている「Lily Was Here」は、キャンディの抒情的な一面を示すショウケースです。キャンディ・サウンドに欠かすことのできないベテランのギター奏者ウルコ・ベッドが優しく寄り添うようなフレーズを奏で、やがてキャンディと向かい合いながらプレイを白熱させていきます。中盤から後半にかけては再び『We Never Stop』から、「We Never Stop」や「The Climb」を披露。「私たちは決して止まらない、人生・愛・音楽は止まらない」という力強いメッセージと、ファンキーな曲調が相乗効果を描きます。「The Climb」に登場する「We Love You」というリフレイン部分も深い余韻を残しました。

後半パートでは、オランダ・ジャズ界の重鎮"ビッグ・ボーイ"ハンス・ダルファーがスペシャル・ゲストとして登場。ステージに上がる前から通路でテナー・サックスをブロウし、やがてキャンディとの親子共演に突入します。ハンスの名を一躍広めた「Mickey Mouth」を筆頭に、息の合ったサックスの掛け合いが続きました。

ライヴはスタンディング・オヴェイションで終わり、メンバーが去っても拍手がしばらく続きました。公演は18日から再開され、19、21、22日と続きます（19日のセカンド・ショウは有料配信あり）。
(原田 2022 11.17)

Photo by Takuo Sato

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☆11.19 sat. 2ndショウでは生配信も！

CANDY DULFER
with special guest HANS DULFER
2022 11.16 wed., 11.18 fri., 11.19 sat., 11.21 mon., 11,22 tue.
※配信チケット販売期間：11.19 sat. 9:00pmまで
※アーカイブ配信視聴期間：11.22 tue. 11:59pmまで
※アーカイブ配信の内容はライヴ配信と異なる場合がございます。予めご了承ください。