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AVISHAI COHEN TRIO "Shifting Sands"

artist AVISHAI COHEN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
唯一無二のベースの響きが、ブルーノート東京に鳴りわたっています。現代ジャズ界の至宝という言葉がふさわしいベーシストにして作曲家、アヴィシャイ・コーエンが最新傑作アルバム『Shifting Sands』を携えて、4年ぶりに登場中です。

恩師の故チック・コリアがそうであったように、アヴィシャイも常に次世代の才人をフックアップして、彼らと一丸となって新鮮なサウンドを創造しています。マーク・ジュリアナ、シャイ・マエストロ、ニタイ・ハーシュコヴィッツ、オムリ・モール、エルチン・シリノフ、ノーム・ダヴィドと、歴代メンバーの名前を並べていくだけでも、いかにアヴィシャイが濃密なアンサンブルを形成してきたかがわかろうというものです。そして今回の公演は、彼自身が"アメイジング"と賞賛する新顔ふたりを引き連れてくれました。いずれもイスラエル出身で、ピアノのガイ・モスコヴィチ(26歳)はアサフ・ハリス、オメル・アヴィタル、デイナ・スティーブンスらとの共演歴も持つ逸材。ドラムのロニ・カスピ(22歳)は、"RONIPONI"という別名でも知られる真のジャンル越境型ミュージシャン。彼女のドラムセットを特徴づけている10インチのスプラッシュ・シンバル(高く鋭い音が出る)は、この公演でも存分にフィーチャーされていました。

セットリストは「The Window」、「Below」、「Intertwined」、「Joy」など『Shifting Sands』からのものが大半を占めましたが、内容は大きく発展し、拡大し、そのスケール感ときたら"怒涛"と表現するのにふさわしいものです。同作では随所にピアノとベースのユニゾンを楽しむことができましたが、ライヴでそれが飛び出すと、二つの楽器の響きと奏者ふたりの呼吸が完全にとけあって、ひとつの巨大な合成楽器から音が奏でられているような感覚にすら陥ります。アヴィシャイのベース・プレイは粒立ちが良く、骨太で、スラップ奏法を行なったり、ハーモニクスを織り込んだり、楽器の胴体を叩いて打楽器的なアプローチをしたり、駒の下の弦をかき鳴らして琴のような響きをだしたり、まさしく自由自在。弓弾きの豊かな音色、イントネーションの美しさは「Joy」で最大限に際立っていました。

オーディエンスは3人の演奏にじっくり聴き入りつつ、ソリストたちの快演に惜しみない拍手を送ります。"なんて素敵な観客だ!"とアヴィシャイ。満面の笑顔で投げキッスをする彼の姿に驚いたのは筆者だけではないはずです。オーラスは、ジョージ・ガーシュウィン作のスタンダード・ナンバー「Summertime」を、ひねりを加えたリズム・パターンで。アヴィシャイはベースと共に素晴らしくソウルフルなヴォーカルを届け、ガイやロニも小技を利かせたプレイで存在感をアピールします。演奏を終えた3人が、スタンディング・オベイションで歓迎されたのはいうまでもありません。公演は23日まで続き、同日のセカンド・ショウは有料配信が予定されています。いつも素晴らしいアヴィシャイの、最新の素晴らしさをぜひご体感ください!
(原田 2023 2.22)

Photo by Makoto Ebi

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★2.23 thu. 2ndショウは生配信も!
AVISHAI COHEN TRIO "Shifting Sands"
2023 2.21 tue., 2.22 wed., 2.23 thu.
詳細はこちら

★ふたりのレジェンドによる夢のコラボレーション、ワールドプレミア!
The "Amity Duet"
小曽根真 & アヴィシャイ・コーエン
2023 2.24 fri.
詳細はこちら
※2ndショウのみインターネット配信(有料)実施

SET LIST

2023 2.21 tue.
1st
1. Dreaming
2. The Window
3. Below
4. Intertwined
5. Drash
6. Chutzpan
7. Shifting Sands
8. Hitragut
9. Joy
EC. Summertime
 
2nd
1. Dreaming
2. The Window
3. Below
4. Intertwined
5. Drash
6. Chutzpan
7. Shifting Sands
8. Remembering
EC. Joy

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