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LALAH HATHAWAY

artist LALAH HATHAWAY

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

5度のグラミー賞に輝くトップ・シンガー、レイラ・ハサウェイの公演が昨日から始まりました。ブルーノート東京への登場は、なんと5年ぶり。私は初日のファースト・セットに足を運びましたが、オーディエンスとアーティスト側の"待ちに待った気持ち"が熱く重なり合うかのようなステージでした。

前回の公演にも参加していたベースのエリック・スミスとドラムスのタバリウス・ジョンソンのコンビネーションは、まさに鉄壁という言葉がふさわしいものです。主にゴスペル畑で活動を続けてきたアリウン・タッカーもシンセサイザーやハモンド・オルガン(絶品!)で鮮やかなプレイを繰り広げました。彼らのプレイはレイラのヴォーカルを時に包み込み、時に鼓舞します。オープニングの「Baby Don't Cry」から、レイラは絶好調です。まろやかでありながら、しっかりとした芯のある歌声が、空間いっぱいに響き渡ってゆきます。アルトでじっくりと歌い上げるなかに、時おり、絹のようになめらかな高音も挿入し、口とマイクとの距離もさまざまに変化させながら、見事な歌唱を聴かせてくれるのです。近作『Honestly』(2017年)からの「Change Ya Life」、故ジョー・サンプルとのコラボレーション作品『The Song Lives On』(1999年)からの「When Your Life Was Low」も含むセレクションは、ベスト・オブ・レイラ・ハサウェイと呼びたくなるものでした。

"オールタイム・フェイヴァリット・シンガーの歌を歌います"というMCの後に飛び出したのは、父親ダニー・ハサウェイの歌唱で有名な「Love, Love, Love」(元ザ・キャデラックスのJ.R.ベイリーが創唱)。ベテランのソウル・ミュージック・ファンには特に嬉しい瞬間だったことでしょう。メロディと歌詞をいつくしむように表現するレイラ、楽曲に奉仕するかのように誠実なプレイを聴かせるミュージシャンたちに引き付けられます。また、スタンダード・ナンバーの「Summertime」では、レイラの即興やメロディ・フェイクの才能が存分に発揮されました。口笛でアドリブをする彼女に聴き入っていると、いつしかもうひとつの口笛がそこに重なってきます。よく見るとバック・コーラスのジェイソン・モラレスが"サイド口笛"で、レイラをサポートしているのです。彼女の最初期のレパートリーで、スナーキー・パピーと共演したセルフ・カヴァーも記憶に新しい「Somethin'」(曲作りにデヴィッド・フォスターも関わっています)もジャム・セッション的に、インプロヴィゼーションを交えつつ発展していきます。レイラは、先日亡くなったサックス奏者ウェイン・ショーターの楽曲「Witch Hunt」のメロディを挿入しながらモダン・ジャズの管楽器奏者のようなスキャットを聴かせ、さらにジェイソン、デニス・クラークらコーラス陣との掛け合いも繰り広げました。今だからこその「Somethin'」が、確かにここにありました。

ブルーノート東京公演は、16日まで連日行われます。乗りに乗る歌い手とメンバーたちが織りなす、至高のパフォーマンスを存分にお楽しみください。

(原田 2023 3.14)

Photo by Jun Ishibashi

★来日公演は3月16日(木)まで!
LALAH HATHAWAY
2023 3.13 mon., 3.14 tue., 3.15 wed., 3.16 thu.
詳細はこちら

SET LIST

2023 3.13 mon.
1st & 2nd
1. Baby Don't Cry
2. Strong Woman
3. Change Ya Life
4. That Was Then
5. When Your Life Was Low
6. Medley
Love Love Love
Angel
LH
Insanity
Summertime
7. Forever For Always For Love
8. It's Somethin'
EC. Lean on me

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