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EDMAR CASTANEDA TRIO

artist EDMAR CASTANEDA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

上原ひろみやゴンサロ・ルバルカバとのデュオでも来日経験のあるハープ奏者のエドマール・カスタネーダが、自身のトリオを率いて目の覚めるような快演を繰り広げています。共演者はマーシャル・ギルクス(トロンボーン)、ロドリゴ・ヴィジャロン(ドラムス)。音楽シーンを見渡しても極めて珍しい楽器編成なのではと思いますが、エドマールは2000年代の前半からこのフォーメーションによる音楽を育んできました。その世界が今、ついに日本で楽しめるのです。

ステージには向かって左からマーシャル、ロドリゴ、エドマールが位置します。エドマールがプレイするのは、もちろん胴体に自身の名前を刻んだコロンビアン・ハープ。2本の腕、10本の指の動きは、まさに"魔術"というしかないものです。満面の笑顔で弦を弾き、こすり、はじいて、ある時は楽器の胴体を叩いてパーカッション的な効果も生み出します。また、オーケストラ~ラージ・アンサンブル界の名トロンボーン奏者で、このトリオの発足当初からのメンバーでもあるマーシャルも"ひとりブラス・セクション"と呼びたくなるような、驚異的なまでにニュアンスに富んだプレイを披露。「ここまで奔放なインプロヴァイザーでもあったのか」と、私は認識を新たにしました。いくつかの曲でエドマールとおそろしく息の合った高速ユニゾンも聴かせてくれましたが、それが"スライド・トロンボーンと、34弦のハープで行われている"ことは驚くべき事実でしょう。最も新しいメンバーであるロドリゴの、サポートと煽りを同時進行するようなメリハリに富むドラム・プレイも大変な聴きものでした。

伝説的ベース奏者、ジャコ・パストリアスに捧げたエドマールの定番「For Jaco」は、この初日ファースト・セットでも演奏されましたが、ジャコへの敬愛を強く感じさせる低音弦による無伴奏のイントロ部分はさらに大胆不敵となり、マーシャルのソロの背後では低音部でベース・ライン、高音部でギターのカッティングを兼ねるようなプレイで輝きを放ちます。『Family』からのタイトル曲や、『Viento Sur』に入っている「La Vie en Chande」など、近作からのレパートリーもたっぷり聴かせながら(「La Vie en Chande」は、当公演の間に提供されるオリジナル・カクテルの名前にもなっています)、エドマール・トリオは観客を引き込みました。オーラスは、超のつくスタンダード・ナンバー「Autumn Leaves」。コロンビア人ふたり+アメリカ人ひとりで構成されたアンサンブルが、フランスのシャンソンにブラジルのサンバ的な編曲を施して、日本のオーディエンスの前で演奏するという、なんともグローバルな世界を味わうことができました。

「パンデミックを経て、またこうして皆さんの前でプレイできることがとても嬉しい」と語るエドマール。"JOY"にあふれたステージは、8月6日まで続きます。
(原田 2023 8.5)

Photo by Makoto Ebi


★来日公演は8月6日(日)まで!

EDMAR CASTANEDA TRIO
2023 8.4 fri., 8.5 sat., 8.6 sun. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2023 8.4 FRI.
1st&2nd
1. FAMILY
2. FOR JACO
3. ARPAQUITO
4. ACTS
5. LA VIE EN CHANDE
6. BATTLE OF FAITH
EC. AUTUMN LEAVES

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