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KYLE EASTWOOD "EASTWOOD BY EASTWOOD"

artist KYLE EASTWOOD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

 大の親日家であり、ブルーノート東京の常連ミュージシャンのひとりでもあるベース奏者/作編曲家のカイル・イーストウッド。世界がロックダウン状態に突入する直前だったといっていいであろう2020年2月以来、約3年半ぶりの来日公演が昨日から始まりました。

 今回の公演テーマは、「イーストウッド・バイ・イーストウッド」。映画監督/俳優で大変なジャズ・ファンとしても知られる父親クリント・イーストウッドゆかりのナンバーを、ジャズ・アレンジでじっくりお届けしようという、これまでありそうでなかった内容です。共演メンバーはクエンティン・コリンズ(トランペット、フリューゲルホーン)、ブランドン・アレン(テナー・サックス)、アンドリュー・マコーマック(ピアノ)、クリス・ヒギンボトム(ドラムス)、つまり不動のラインナップ。気心の知れた演奏仲間と共に、名曲の数々を新鮮に蘇らせるカイルの姿は、従来にも増してハッピーに見えました。

 各楽曲は基本的に、事前に録画収録されたカイルとクリントの会話→演奏の順で届けられました。カイルが映画『Bird』について質問し、クリントが監督時のエピソードや物語のモデルであるサックス奏者チャーリー・パーカーへの思いを語る姿がスクリーンに映し出された後、バンドにスポットライトが当たり、パーカーの代表曲「Cool Blues」の演奏が始まります。もちろんアレンジは新たに書かれており、おそらくパーカー存命中にはなかったであろうリハーモナイゼーション(和声付け)と共に、全員の快いソロを聴くことができました。以降も、1975年公開のクリント監督映画『The Eiger Sanction』にジョン・ウィリアムス(かつてジョン・タウナー・ウィリアムスと名乗るジャズ・ピアニストでした)が提供したタイトル曲や、クリント主演の大ヒット・シリーズ『Dirty Harry』にラロ・シフリンが提供した「Dirty Harry」と「Magnum Force」の強烈なジャズ・ファンク・アレンジ等を次々と披露。「あの曲がこんなふうに生まれ変わるなんて」と嬉しい驚きに包まれるアメリカン・ムーヴィー・ファンも少なくないのではと思われます。

 後半になると、カイルがスコアを書いた2008年公開映画『Gran Torino』のタイトル・チューンを、軽やかに自作自演。ラストでは、セルジオ・レオーネ監督、エンニオ・モリコーネ作曲、クリント主演の1966年公開作品『The Good, the Bad and the Ugly』(続・夕陽のガンマン)の主題歌がプレイされ、印象的メロディはそのままに、砂ぼこりが舞うようだった音世界を、痛快なハード・バップ・スタイルに生まれ変わらせながら、バンド一丸となって場内を熱狂の渦に巻き込みました。最新アルバム『Eastwood Symphonic』ではチェコ・ナショナル交響楽団と共にクリントゆかりのナンバーをとりあげていたカイルですが、ブルーノート東京でのプログラムはある意味対照的といえるほどファンキーで、乗りの良さにあふれているのです。公演は20日まで続きます。

(原田 2023 9.19)

Photo by Takuo Sato

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★カイル・イーストウッド来日公演は9月20日(水)まで!

●KYLE EASTWOOD "EASTWOOD BY EASTWOOD"
2023 9.18 mon., 9.19 tue., 9.20 wed. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2023 9.18 mon
1st
1. Cool Blues
2. Eiger Sanction
3. Dirty Harry / Magnum Force
4. Unforgiven
5. Gran Torino
6. Fistful of Dollars
EC. Good, Bad and Ugly
 
2nd
1. Cool Blues
2. Eiger Sanction
3. Dirty Harry / Magnum Force
4. Letter from Iwo Jima
5. Unforgiven
6. Fistful of Dollars
EC. Good, Bad and Ugly

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