LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


NUBYA GARCIA

artist NUBYA GARCIA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

UK現在進行形ジャズの中心人物のひとり、ヌバイア・ガルシアのステージが昨日から始まっています。2019年に、鬼才キーボード奏者ジョー・アーモン・ジョーンズのバンドで来日したことがある彼女ですが、リーダーとしてのそれは今回の「ブルーノート東京」公演が初めて。MCパートでは、「自分のバンドで、このアイコニックな場所で演奏できるのがとても嬉しい」という一言も聞くことができました。

共演メンバーは、ファースト・ソロ・アルバム『Source』にも参加していたドラマーのサム・ジョーンズ、さらにザラ・マクファーレンのサポートでも知られるベーシストのマックス・ルサート、エマ・ジーン・サックレイの傑作『Um Yang』や『Yellow』にも参加していたキーボーディストのライル・バートン。精鋭ぞろいのメンバーを得たヌバイアは、まるでインスピレーションの化身になったかのように、「次はどうなるのだろう」的、予想のつかない、わくわくさせるフレーズを次々と放ちます。それが骨太なテナー・サックスの音色によって、どこまでも伸びていくようなロング・トーン(個人的にはウェザー・リポート解散後からアコースティック・カルテット結成前までのウェイン・ショーターを思い出しました)も交えながら表現されるのですから、聴いているこちらの快感は増すばかりです。

エフェクトのかかったドラムスの音色、地を這うようなベース・ラインから始まったのはアルバム『Source』のタイトル曲。先日発売されたクルアンビンとのスプリット・ライヴ作品『Live at Radio City Music Hall』にも収められていましたが、この日「ブルーノート東京」で繰り広げられたパフォーマンスは、「いっそうの拡大・発展」という言葉がぴったりの内容。インプロヴィゼーションを続けてから次の展開に向かうときにヌバイアは右腕をスッと挙げるのですが、その瞬間、バンドは一体となって次の章へ飛びます。こうしたコンビネーションの妙をじかに目撃できるのも、ライヴ・ステージならではの魅力といえましょう。

ほかにも『Source』からは「Before Us: In Demerara & Caura」(ドラムスとのデュオ部分から全員の合奏に移り行くアレンジが絶品!)、「La cumbia me está llamando」などを披露し、ラスト近くでは'90年代のUKガラージュに思いを馳せた新曲「Lean In」を、おそらく10分は超える長尺の、即興をたっぷり入れたヴァージョンとして届けてくれました。

彼らは演奏曲目をバンドスタンド上で決めており、ヌバイア自身もMCで「全セット、異なる内容になる」と語っていました。どのセットに足を運んでも「今の音楽」に触れる喜びに包まれるかと思いますし、複数のセットを見聴きするファンも多いのではないかと思います。これからさらに躍進してゆくこと間違いなしの精鋭たちによる、ジャズの明日を切り開く公演は4日まで続きます。生々しい音の数々を、ぜひご体感ください!
(原田 2023 10.3)

Photo by Tsuneo Koga

ーーー
★ヌバイア・ガルシア公演は本日10月4日(水)まで開催!

「NUBYA GARCIA」
10.2 mon., 10.3 tue., 10.4 wed. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2023 10.02 Mon.
1st
1. SOURCE
2. THE MESSAGE CONTINUES
3. LA CUMBIA ME ESTÁ LLAMANDO
4. BEFORE US : IN DEMERARA & CAURA
5. LEAN IN
6. WE WALK IN GOLD
7. LOST KINGDOMS
 
2nd
1. SOURCE
2. FLY FREE
3. LA CUMBIA ME ESTÁ LLAMANDO
4. FORTIFY
5. BOUNDLESS BEINGS
6. PACE
7. TRIUMPHANCE

INDEX