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BOB JAMES TRIO

artist BOB JAMES

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ただいま配布中のフリーペーパー「Blue Note Tokyo Jam Vol.224」に掲載されている"ブルーノート東京35周年記念特集"にも、実に嬉しいコメントを寄せてくれたボブ・ジェームス。ますます意気軒昂な彼が、自身のレギュラー・トリオを率いて、日本のホームグラウンドに戻ってきています。

共演メンバーは、前回の来日と同じくマイケル・パラッツォーロ(ベース)、ジェームズ・アドキンス(ドラムス)という、おそらくボブとは祖父と孫ほどの年齢差があるはずの気鋭たち。彼らが登場すると大きな拍手と歓声が巻き起こり、その後でボブが腕を掲げながらステージにあがると、満員の客席はさらにさらに沸き立ちます。彼はアコースティック・ピアノにMIDI装置をつけた、いわゆる「MIDIピアノ」を演奏し、曲によってはストリングス(弦楽)と共演しているような効果も生み出しました。パラッツォーロは美しい音色でアコースティック・ベースを雄弁に鳴らし、アドキンスはハンドクラップのような音色を出す変形シンバルを活用します。

冒頭は、ボブを中心とする4人組オールスター・バンド"フォープレイ"のレパートリーでもあるマイナー・ブルース「Avalabop」。若手ふたりも大きくフィーチャーされた(といっても、モダン・ジャズのように順繰りにアドリブ・パートが登場するわけではなく、アンサンブルの中にソロが盛り込まれる形です)この曲で、トリオはオーディエンスの心をすっかり掴んでしまったようです。'70年代フュージョン・ミュージック全盛時の十八番からは「Feel Like Makin' Love」や、ベースやドラムスとの掛け合いがフィーチャーされた「Westchester Lady」、変奏に続く変奏でドラマティックなバラードへと形を変えた「Angela」などを楽しませてくれました。

ボブは来日のたびに、サムシング・ニューを届けたいと思っているとのことです。今回はそれが、最新作『Jazz Hands』収録楽曲のプレミア・ライヴ・パフォーマンスという形で実現しました。初日ファースト・セットでは「The Secret Drawer」、「The Alchemist」、「BeerBohm」を演奏。『Jazz Hands』には"ボブ・ジェームス史上、最もエクレクティック(折衷的)なアルバム"というキャッチフレーズのもとに、DJ・ジャジー・ジェフ、デイヴ・コーズ、シーロー・グリーンといった豪華ゲストも参加しているのですが、そこからの楽曲をアコースティック編成による、どこか室内楽的でもあるピアノ・トリオの響きで楽しむのは、実に新鮮な体験でした。アルバムでは賑やかなオーケストレーションが施されていた「The Secret Drawer」も、ライヴでは"核"そのものを差し出すようなパフォーマンスで、個人的には大変な収穫を得た思いです。ライヴに接すれば新作を聴きたくなることでしょうし、事前に新作を聴いていたら、その曲がライヴでどう展開していくのか、いっそう興味深く音に浸ることができるに違いありません。

「ブルーノート東京での演奏は毎回、自分の人生のハイライトなんだ」と語るボブ。23日まで続く今回の来日ステージでも、全公演スタンディング・オベーションが巻き起こることでしょう!
(原田 2023 10.21)

Photo by Makoto Ebi

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【LIVE INFORMATION】

BOB JAMES TRIO
2023 10.20 fri., 10.21 sat., 10.22 sun., 10.23 mon. ブルーノート東京
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SET LIST

2023 10.20 FRI.
1st
1. AVALABOP
2. FEEL LIKE MAKING LOVE
3. THE SECRET DRAWER
4. BEERBOHM
5. THE ALCHEMIST
6. CARAVAN
7. TOPSIDE
8. WESTCHESTER LADY
EC. ANGELA
 
2nd
1. RESTORATION
2. THE SECRET DRAWER
3. BEERBOHM
4. SEA GODDESS
5. AMBROSIA
6. MOPHEAD
7. MISTER MAGIC
8. WESTCHESTER LADY
EC. ANGELA

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