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THE HOT SARDINES

artist THE HOT SARDINES

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ちょっとノスタルジックで、抜群にスウィンギーで、思いっきりハッピー。

去る4月のカーネギー・ホール公演も話題を集めた人気グループ、ザ・ホット・サーディンズのステージがついに始まりました。彼らの来日は、およそ4年半ぶり。その間、こちらでの人気もさらに高まったことは間違いなく、初日のファースト・セットから大変な盛り上がりです。リーダー兼ピアニストのエヴァン "ビブス" パラッツォと、紅一点ヴォーカリストの"ミズ・エリザベス" ブージュロルの息はもちろんぴったり合い、最新作『C'EST LA VIE』からのナンバーや、この時期だからこそのクリスマス・ソングを交えながら、徹底的に楽しませてくれました。

ロバート・パリンズは2017年の公演以来の参加で、リゾネーター・ギター(どちらかというとハワイアンやブルースでよく使われる楽器です)とクラリネットの二刀流で異彩を放ちます。トロンボーンを担当するJ.ウォルター・ホークスは、エミー賞に輝いたことのある才人。のびやかなフレーズ、恵まれた音量は、疑いなくこのグループの新たな魅力といえましょう。やはり新加入のヴィクター・ムリージョはスラップ奏法や弓弾きも交えながらベースを鳴らし、シルク・ド・ソレイユ「バナナ・シュピール」のアメリカ/カナダ公演に参加したことがある新加入のデウィット・フレミング・ジュニアはドラムとタップダンスの双方で熱狂させます。芸達者が揃って、温故知新の精神たっぷりに、歴史的名曲の数々を届けてくれるのです。

演唱にとりかかる前に、ソングライターの名前や発表年に触れることが多いのも、彼らの「先達への敬意」を物語っているように思います。たとえば「It Had To Be You」に関する紹介は、「ガス・カーンが作詞、アイシャム・ジョーンズが作曲して、1924年に発表された」という調子です。100年も前の楽曲が、目の前で、軽やかな即興も交えて、実に新鮮に蘇ってゆく瞬間を体験できる機会は、なかなかあるものではありません。シャンソンの定番「La Vie En Rose(バラ色の人生)」ではエリザベスとパリンズ(ギター)がデュオの世界を届け、エヴァンもベースとドラムスだけをバックに「I've Got My Love To Keep Me Warm(恋に寒さを忘れて)」を演奏。ストライド奏法も取り入れながらのパフォーマンスに、場内は大きく湧きました。アンコールの「White Christmas」は、なんとブギウギ調のアレンジ。途中、エリザベスの奏でるウォッシュボード(洗濯板)、デウィットのタップダンスにも大きなスポットが当たりました。公演は21日まで開催!
(原田 2023 12.20)

Photo by Aya Shimizu

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【LIVE INFORMATION】

THE HOT SARDINES
2023 12.19 tue., 12.20 wed., 12.21 thu. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2023 12.19 Tue.
1st
1. MISTLETOE & HOLLY
2. LOVE POTION NO.9
3. LOVER COME BACK TO ME
4. LA VIE EN ROSE
5. CHRISTMAS BLUES
6. PETITE FLEUR
7. ZAZOU
8. COMES LOVE
9. I’VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM
10. IT HAD TO BE YOU
11. BEI MIR BIST DU SCHOEN
EC. WHITE CHRISTMAS
 
2nd
1. MISTLETOE & HOLLY
2. LOVE POTION NO.9
3. LOVER COME BACK TO ME
4. AIN’T MISBEHAVIN’
5. BLUE CHRISTMAS
6. ZAZOU
7. COMES LOVE
8. SWEET PEA
9. I’VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM
10. DON’T FENCE ME IN
11. BEI MIR BIST DU SCHOEN
EC. WHITE CHRISTMAS

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