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CHRIS BOTTI

artist CHRIS BOTTI

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

巨匠デヴィッド・フォスターをプロデューサーに迎えた最新作『Vol.1』も話題を集めるトランペッター、クリス・ボッティが日本のホームグラウンド「ブルーノート東京」に戻ってきてくれました。今年も昨年同様、5デイズ10セットのロングラン公演です。

ボッティのライヴでは、実に幅広い楽想を楽しめることができると共に、次世代ミュージシャンのプレイにもしっかり触れることができます。もちろん今回の公演も盛りだくさん、手ごたえ満点です。オープニングを飾る「Danny Boy」は、ボッティとピアニストのジュリアン・ポラックのデュオ。ポラックは少年の頃に今は亡きジャズ界の女帝マリアン・マクパートランドに認められ(ということはクリス・ポッターと同様)、チーフ・アジュアやテラス・マーティンもアルバムを出しているローパドープ・レコーズから作品をリリース、ピアノ協奏曲の作曲もおこなっているハイブリッドな気鋭。しっとりと二重奏がおこなわれた後、いまやバンドになくてはならない存在となったドラマーのリー・ピアソン(晩年のハンク・ジョーンズとも演奏していました)、やはり常連のギター奏者レオナルド・アムエド、さらにジョーイ・アレキサンダーやマーク・ケアリーとも共演する若手ベーシストのダニエル・シミエリンスキーが合流して、マイルス・デイヴィスの名演でも知られる「Someday My Prince Will Come」や「When I Fall In Love」が快調にプレイされてゆきます。時折ハイノート(超高音)も織り交ぜて吹奏するボッティは、まさに絶好調です。

サンクトペテルブルク出身のヴァイオリン奏者であるアナスタシア・マズロクをフィーチャーしたセクションでは、いっそうリリカルな音楽世界が広がって、「My Funny Valentine」がヴァイオリンのショウケースといえる内容に衣替えされました。かと思えば、彼女と入れ替わりにテナー・サックス奏者のチャド・レフコウィッツ=ブラウンが登場すると、バンドはすっかりモダン・ジャズ仕様となって、各人がアドリブ・プレイヤーとしての力強さを発揮します。このセクションでも「Milestones」や「If I Were A Bell」など、やはりマイルス・デイヴィスとゆかりの深い楽曲が演奏されました。

「今度はどんなヴォーカリストが帯同するのか」、これもボッティのライヴに接するときの大きな楽しみです。本公演の歌手はなんと、アリシア・オラトゥージャ! アルバム『Intuition』やドクター・ロニー・スミスとの共演でも大変に豊かな才能を発揮した逸材ですが、ライヴではそこに抜群のエンタテインメント性が加味されます。後半では加えて、ギター弾き語りのジョン・スプリトホフも登場。約100年前の楽曲で、1960年代にエルヴィス・プレスリーがリヴァイヴァル・ヒットさせた「Are You Lonesome Tonight?」ではボッティのミュート・トランペットと絶妙な絡みを聴かせました。

全員が登場したラスト・ナンバー「Fix You」(コールドプレイのカヴァー)まで、わくわくする瞬間の連続。3月4日の千秋楽まで連日、クリス・ボッティとその仲間たちは最高潮のパフォーマンスで楽しませてくれることでしょう。

(原田 2024 3.1)
Photo by Takuo Sato

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クリス・ボッティ公演は3月4日(月)まで開催中!

【LIVE INFO】
CHRIS BOTTI
2024 2.29 thu., 3.1 fri., 3.2 sat., 3.3 sun., 3.4 mon.
詳細はこちら

SET LIST

2024 2.29 Thu.
1st&2nd
1. DANNY BOY
2. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
3. WHEN I FALL IN LOVE ~ SEVEN STEPS TO HEAVEN
4. DEBORAH’S THEME
5. MY FUNNY VALENTINE
6. MILESTONES
7. IF I WERE A BELL
8. OLD FOLKS
9. IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING
10. I’VE GOT YOU UNDER MY SKIN
11. PARIS
12. ARE YOU LONESOME TONIGHT?
13. FIX YOU

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