- BÉLA FLECK & ABIGAIL WASHBURN
- YANN TOMITA at BLUE NOTE TOKYO featuring DOOPEES 30th Anniversary
- BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO with special guests ELIANE ELIAS & MARC JOHNSON
- JOSHUA REDMAN GROUP featuring GABRIELLE CAVASSA
- PACIFIC JAZZ ORCHESTRA directed by CHRIS WALDEN
2024 5.27 mon., 5.28 tue., 5.29 wed.
JOSHUA REDMAN GROUP featuring GABRIELLE CAVASSA
artist JOSHUA REDMAN
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
なんと、約8年ぶりの登場です。'90年代前半の衝撃的なデビュー以来、常に第一線に立ち続けるテナー・サックス奏者のジョシュア・レッドマンが、名門ブルーノート・レーベル移籍第1弾にあたる最新作『ホエア・アー・ウィー』を携えて超満員のクラブを沸かせています。
共演者はポール・コーニッシュ(ピアノ)、フィリップ・ノリス(ベース)、ナジル・エボ(ドラムス)という刮目すべき次世代たち。昨年11月にエメット・コーエン・トリオ公演で鮮やかなプレイを聴かせたフィリップの演奏が再び間近で味わえるのも大きな魅力です。そして今回のステージでは、『ホエア・アー・ウィー』同様、ガブリエル・カヴァッサのヴォーカルが加わっているところも際立った特徴です。ジョシュアが自身のバンドに歌手を抜擢したのは今回が初めてではないでしょうか。サマラ・ジョイやジャズメイア・ホーンを輩出した権威ある「サラ・ヴォーン国際ジャズ・コンペティション」のウィナーに輝いた20代の若手で、よく通るまろやかな歌声とバンド・アンサンブルの相性は、このライヴでも絶妙でした。
ガブリエルはジョシュアと並んでバンドスタンドに立ち、「Chicago Blues」(カウント・ベイシー&ジミー・ラッシングの古典的ブルースと、現代有数のシンガーソングライターであるスフィアン・スティーヴンスの楽曲とのマッシュアップ)、ブルース・スプリングスティーンの楽曲「Streets of Philadelphia」などを歌い込みます。ジョシュアは彼女の歌声に、自在にオブリガートをつけるとともに、自身のソロ・パートでは、時に唸り声を発しながら力の入ったブロウを繰り広げました。「ここまで"アルティッシモ"(超高音域)を使いまくるジョシュアは、久しく聴いたことがない」というのが私の実感で、即座に思い出したのが1995年に発表されたライヴ盤『Spirit of the Moment - Live at the Village Vanguard』でした。また、いくつかの曲中では、ガブリエルがワードレス・ヴォーカル(スキャットとは、またニュアンスが異なります)で歌うシーンもありましたが、ジョシュアはユニゾンで合わせたり、上の音域や下の音域でハモったりと、サウンドにさらなる厚みを加えていました。しかもこの初日ファースト・セットでは、アルバム未収録の「Hotel California」も披露。あのイーグルスのメガ・ヒット・ナンバーが、ごく自然に、しなやかなジャズとして響いたのは大変な驚きです(ポールはソロの中で「You and the Night and the Music」のメロディを引用していました)。編曲の妙、5人のミュージシャンシップの高さに唸らされるばかりでした。
『ホエア・アー・ウィー』はアメリカにちなんだ楽曲で構成された、ベタな言い方をすれば"ご当地ソング集"ですが、後半ではさらに驚くべきプレゼントがジョシュアたちからもたらされました。「赤とんぼ」です。ガブリエルは日本語でフルコーラス歌い、ポールはゴスペル的なサポートでヴォーカルを引き立てます。そこから、ノンストップで「The Tokyo Blues」。ピアニストのホレス・シルヴァーが1962年、初来日公演時の感激を胸に書いたファンキー・チューンです。コンテンポラリーなアレンジをほどこした楽曲で始め、最後はモダン・ジャズの古典で思いっきりドライヴする・・・・そんなプログラムを持つジョシュア・レッドマン・グループfeaturing ガブリエル・カヴァッサのステージには、ジャズの魅力と歴史が盛り込まれています。公演は29日まで続きます。全セット、オーディエンスを限りなく熱狂させてくれることでしょう。
(原田 2024 5.28)
Photo by Makoto Ebi
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〈LIVE INFO〉
JOSHUA REDMAN GROUP
featuring GABRIELLE CAVASSA
5.27 mon., 5.28 tue., 5.29 wed. ブルーノート東京
2024 5.27 Mon.
1st | |
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1. | CHICAGO BLUES |
2. | STREETS OF PHILADELPHIA |
3. | HOTEL CALIFORNIA |
4. | THAT’S NEW ENGLAND |
5. | RHODE ISLAND IS FAMOUS FOR YOU |
6. | AKATOMBO |
7. | THE TOKYO BLUES |
EC. | WHERE ARE YOU? |
2nd | |
1. | AFTER MINNEAPOLIS |
2. | DO YOU KNOW WHAT IT MEANS TO MISS NEW ORLEANS? |
3. | BY THE TIME I GET TO PHOENIX |
4. | I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO |
5. | BALTIMORE |
6. | AKATOMBO |
7. | MOLTEN SOUL |
EC. | COULD IT BE MAGIC |