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JOHN BEASLEY : El Trio featuring José Armando Gola & Horacio "El Negro" Hernández

artist JOHN BEASLEY

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

才人の新境地が、今、ブルーノート東京で花開いています。

1970年代から第一線に立ち、マイルス・デイヴィス、チャカ・カーン、セルジオ・メンデス、ダイアン・リーヴス、カマシ・ワシントンらと共演。セロニアス・モンクの名曲に取り組むプロジェクト"モンケストラ"でも話題を集めるジョン・ビーズリーの、新ユニット"El Trio"による公演が昨日から始まりました。

モンケストラでは歯切れ良いアコースティック・ピアノを聴かせていたビーズリーですが、El Trioのステージでは複数のエレクトリック・キーボードを駆使し、加えてジョー・ザヴィヌルばりのヴォコーダーによる歌声も届けます。6弦エレクトリック・ベースを弾きまくるホセ・アルマンド・ゴラはゴンサロ・ルバルカバと長年にわたって共演、ほかエルダー・ジャンギロフ、ジェニファー・ロペス、アルトゥーロ・サンドバル等の演唱を支えてきました。ドラムスのオラシオ・エル・ネグロ・エルナンデスも、ホセとは時期は異なるもののやはりゴンサロのバンドで活動し、ミシェル・カミロ、ロイ・ハーグローヴ、キップ・ハンラハン等の作品に関わってきました。オラシオとロビー・アミーンのチーム"エル・ネグロ&ロビー"が2002年に発表したアルバム『At The Third World War』にもビーズリーは参加していたので、交流は四半世紀もの長期間に及んでいます。

El Trioは先日、アルバム『Live in Italy』を発表しましたが、今回の公演は、その熱狂をダイレクトに日本のオーディエンスの前に差し出したものといっていいでしょう。鍵盤ハーモニカ型ウィンドシンセも含むビーズリーの打鍵(と吹奏)は多彩な音色とフレージングで空間を埋め尽くし、ホセは単音ソロ、コード(和音)、幅広い音域を生かしたベース・ライン、すべてが図太くて明快。"足カウベル"はオラシオの得意技の一つですが、それが非常にたくさん楽しめるのもEl Trioの魅力です。セットリストにはEl Trioのための書き下ろしに加え、前述『At The Third World War』にも入っていた「3 For Africa」、ウェザー・リポート(ザヴィヌルやウェイン・ショーターが在籍していたグループ)のレパートリーである「Elegant People」なども含まれており、なかでも「Elegant People」でのオラシオは超の字のつく圧巻のプレイを聴かせてくれました。とんでもないポリリズムを生み出しつつ、途中から足カウベルによる"2・3クラーベ"も導入して、バンドの律動をさらに深く、濃厚にしてゆくのです。

ビーズリーとキューバ出身のトップ・ミュージシャンの邂逅は、大成功といえましょう。キューバン・ジャズ・ピアノの巨星、チューチョ・ヴァルデスも絶賛するEl Trioの世界を、ぜひ至近距離でお楽しみください。公演は17日まで行われます。
(原田 2024 6.16)

Photo by Great The Kabukicho

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【LIVE INFORMATION】

JOHN BEASLEY : El Trio
featuring José Armando Gola & Horacio "El Negro" Hernández
2024 6.15 sat., 6.16 sun., 6.17 mon. ブルーノート東京
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SET LIST

2024 6.15 Sat.
1st&2nd
1. 3 FOR AFRICA
2. ELEGANT PEOPLE
3. EN 4
4. SONG FOR DUB
5. SIERRA
6. TIMBEANDO
EC. ARROZ CON MANGO

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