2024 8.20 tue., 8.21 wed., 8.22 thu., 8.23 fri. @ブルーノート東京 / 8.24 sat. 高崎芸術劇場 / 8.25 sun. コットンクラブ
RON CARTER GOLDEN STRIKER TRIO
artist RON CARTER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
1964年にマイルス・デイヴィス・クインテットの一員として初来日公演を行なってから、早くも60年。ベース奏者のロン・カーターは常に第一線に立ち続け、日本のファンとの相思相愛ぶりをますます深めています。去る1月にはパット・メセニーとの共演でファンを沸かせてくれたばかりですが、今回は自身のユニット"ゴールデン・ストライカー・トリオ"によるステージです。
メンバーはもちろん、ベーシストのロン、ギタリストのラッセル・マローン、ピアニストのドナルド・ヴェガという3名。小粋にスウィングするところ、室内楽的な要素、時にユーモアを交えたアドリブが一体化して、こちらの心を和ませてくれます。私が足を運んだ初日のファースト・セットはまた、ロンの長く豊富なキャリアを反映したかのように、トリビュート・ナンバーを中心にしたセットリストで構成されていました。ロンが繰り返し奏でるフレーズがテーマ・メロディの核となる「Cedar Tree」はピアニストのシダー・ウォルトンに捧げたナンバーで、後半ボサノヴァ調の展開となる「Opus 5」では演奏前のMCでアントニオ・カルロス・ジョビンの名前がアナウンスされました。ジム・ホールの名前がアナウンスされた後には優美なワルツ「Candlelight」が登場、さらにロン在籍時のマイルス・デイヴィス・クインテットによる名演で知られる「My Funny Valentine」が、このトリオならではの"キメ"を多用したアレンジで演奏されていきます。
三者一体となったプレイはもちろん、ひとりが手を休めてデュオの展開になったり、無伴奏ソロ(カデンツァ)的パートもたっぷり盛り込まれるなど、曲中でさまざまなバリエーションが味わえるのもこのトリオの魅力です。とくにラッセルは非常にキメ細かに音量を調整し、粒立ちの良い単音ソロ、まろやかなトーンによるコード・ソロ、硬質な音色でのリズム・カッティングなどを織り交ぜて唸らせてくれました。そしてロンは「You Are My Sunshine」を、全編無伴奏ソロでプレイしました。ベースの胴体をこすってドラマーのブラッシュ・ワークのような音を出しながら、このよく知られたメロディを、自在に解釈していきます。また今回、改めて感じたのは、彼らが本当に、実に自然に、アドリブの中で、次々とクォーテーション(他の曲のメロディの引用)を行なっていることです。「3人とも数限りない楽曲が身体に染みこんでいるのだろうな」と思いながら、遊び心をも感じさせるクォーテーションの数々に酔いしれたのは私だけではないはずです。
紳士3名による音の語らいは23日までブルーノート東京、24日は高崎芸術劇場、25日にはコットンクラブで行われます。
(原田 2024 8.21)
Photo by Tsuneo Koga
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【LIVE INFORMATION】
RON CARTER
GOLDEN STRIKER TRIO
2024 8.20 tue., 8.21 wed., 8.22 thu., 8.23 fri. ブルーノート東京
2024 8.24 sat. 高崎芸術劇場 / スタジオシアター
2024 8.25 sun. コットンクラブ
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