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TERENCE BLANCHARD featuring the E-COLLECTIVE with the Turtle Island Quartet @Cotton Club

artist TERENCE BLANCHARD

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

示唆に富む音楽を送り続けるトランぺッター/作曲家(ジャズの楽曲はもちろん、映画音楽やオペラまで)、テレンス・ブランチャードが超強力ユニット"E-コレクティブ"を率いて遂に来日! 2021年発表のアルバム『Absence』と同様、約40年の歴史を誇る弦楽四重奏"タートル・アイランド・カルテット"との協演ステージを繰り広げています。私はコットンクラブで行われた初日セカンド・セットに足を運びましたが、内容は濃密そのもの。時にミステリアスに、時にファンキーに響き渡る音群に心を奪われ、目の前で繰り広げられる「クラシカルな弦楽器の音色とエレクトリック・サウンドの妙なる融合」に耳が喜びっぱなしでした。約80分が、本当に一瞬に感じられる至高の一夜を経て、「本当に来日してくれてよかった」との思いは、ますます強まっています。

『Absence』はテレンスのメンターのひとりであるウェイン・ショーター(2023年死去)へのオマージュ・アルバムで、ショーターの楽曲も(かなり通好みのところが)いくつかプレイされていました。が、このセットでは「ショーターの前進意欲を俺たちの中でしっかり培養して、さらにその先を行く」といわんばかりに、メンバーのオリジナル曲を集めて進行していきます。オープニングはレフティの5弦ベース奏者、デヴィッド・ギンヤード(かつてテレンスのバンドに在籍したアーロン・パークスが率いる"リトル・ビッグ"の一員でもあります)が書いた「Absence」。エフェクトをかけたテレンスのトランペットの背後で、作者のデヴィッドはうねるようなベース・ラインを奏で、2種類のフロア・タムやスネアを含むドラム・セットを操るオスカー・シートンは、まるで1小節ごとに異なるアイディアを持ち込むかのような多彩なアプローチでソリストを煽ります。「I Dare You」に登場するチャールズ・アルトゥラのエレクトリック・ギターと弦楽四重奏のハーモニーや、テイラー・アイグスティのアコースティック・ピアノと、その背後で鳴るテレンスのシンセサイザーの重なりも絶品です。ステージではE-コレクティブやタートル・アイランド・カルテットの単独演奏も行われ、まるでリズム・ギターのような歯切れ良いカッティングをヴァイオリン上で行うガブリエル・テラッチアーノ、いわゆるウォーキング・ベース奏法をチェロにおきかえたマルコム・パーソンの指使いにも引き込まれるばかりでした。

後半、ふたたび合流した両グループは、ハービー・ハンコックがプロデュースしたテレンスの2005年作品のタイトル曲である「Flow」、2018年リリースのE-コレクティブによる『Live』からの「Kaos」等を、実にスケールの大きな合同演奏で楽しませてくれました。音の冒険者たちのステージは本日もコットンクラブで行われ、明日はブルーノート東京に会場を移して開催されます。
(原田 2024 9.3)

Photo by Tsuneo Koga

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【LIVE INFORMATION】

TERENCE BLANCHARD featuring the E-COLLECTIVE
with the Turtle Island Quartet
2024 9.2 mon., 9.3 tue. コットンクラブ
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2024 9.4 wed. ブルーノート東京
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