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ALFREDO RODRIGUEZ TRIO

artist ALFREDO RODRIGUEZ

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
情熱と活力に溢れるピアノ・タッチ、一糸乱れぬバンド・アンサンブル、たくまざるエンターテインメント性。
自身のルーツに回帰した新作『コーラル・ウェイ』も大好評の俊英ピアニスト、アルフレッド・ロドリゲスがニュー・トリオを率いて昨日から会心のステージを展開中です。共演者にはリック・ウェイクマン、セザリア・エヴォラ、スティングとも共演したことがあるという5弦エレクトリック・ベースのヤエル・ヘルナンデスが新たに加わり、もはやロドリゲスの右腕といってもいいであろうマイケル・オリヴェラがドラムスを担当します。「長年の名コンビであるロドリゲスとオリヴェラに、どう呼吸を合わせていくのだろう」と、私はヘルナンデスの演奏ぶりに興味津々だったのですが、そのプレイは「爆裂」という言葉がふさわしいものでした。右手の親指を多用しながら(しかし、スラップ奏法は使いません)、幅広い音域を生かした自在なアプローチ、訴えかけるようなソロ・フレーズで喝采をさらい、オリヴェラと一体となって多層的なリズムを生み出してロドリゲスのプレイを煽ります。ちなみにロドリゲスはハバナ、ヘルナンデスはフォメント、オリヴェラはサンタクララ生まれ。なんとも強力な"キューバン・トリオ"が東京にやってきたものです。

初日のファースト・セットでは、『コーラル・ウェイ』から、タイトル曲や「Fidju di Lua」を演奏。鮮やかなメロディ・ラインはディスクで聴かれる通りのものですが、そこからどんどん発展し、まるで変奏曲のようになっていくのがライヴの面白いところです。3人は笑顔で超絶技をぶつけ合い、途中、エキサイトしたのかロドリゲスはピアノの椅子から立ち上がったり、手拍子を打ったり。いっぽう、1950年代初頭にチャーリー・パーカーがとりあげたことでジャズ界に広まった古典「Mama Ines」ではメンバー全員のユーモラスな合唱がフィーチャーされ、やはり大定番である「Besame Mucho」はメロディの哀感を残しつつも、ハーモニーやリズム・パターンに新味を加えて、このトリオならではの"べサメ"としてオーディエンスに提示されました。プログラムの後半ではロドリゲスの恩師であるクインシー・ジョーンズに捧げて「Thriller」も登場。マイケル・ジャクソンのヴァージョンより一層ダンサブルにアレンジされた、さんさんと輝く太陽をイメージさせるような"キューバン・スリラー"を楽しむことができました。

サムシング・ニューがほどこされた歴史的楽曲と、実に親しみやすいオリジナル曲と絶妙にミックスしながら綴られるアルフレッド・ロドリゲスの最新ステージ。「世界で一番、大好きな場所のひとつ」と語るブルーノート東京への来日は、今回が8度目になるそうです。充実そのもののニュー・トリオの公演は29日まで続きます。
(原田 2024 9.28)

Photo by Great The Kabukicho

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