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KENNY GARRETT and Sounds From The Ancestors

artist KENNY GARRETT

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

旧友のプログラミング・アーティスト、スヴォイとコラボした最新アルバム『Who Killed AI?』で好奇心いっぱいのサウンドを繰り広げているケニー・ギャレットが約6年半ぶりに「ブルーノート東京」に登場。初日のファースト・セットから、熱狂的なプレイと溢れるエンタテインメント性で超満員の観客を沸かせています。

共演メンバーは、80年代後半にマルグリュー・ミラーが率いていた伝説的ユニット"ウィングスパン"でギャレットと共に演奏したルディ・バード(パーカッション)、さらに、ベネズエラ生まれのベニート・ゴンザレス(ピアノ&キーボード)、シオ・クローカーやジャズメイア・ホーンとの共演でも知られるエリック・ホイーラー(ベース)、若手サックス奏者アイゼイア・コリアーのバンド"ザ・チョーズン・フュー"でも超絶的な叩きっぷりを聴かせるマイケル・シェクウォァガ・オデ(ドラムス)という面々。ベテランも気鋭も才気に富んでおり、ギャレットのディレクションのもとにひとつになって、思いっきりプレイします。自身のリーダー・バンドから大西順子、クリス・デイヴ、ロナルド・ブルーナーJr.、コーリー・ヘンリー、ジャスティン・ブラウン、コーコラン・ホルト等を輩出した彼の慧眼は健在です。

演奏は、2012年のアルバム『Seeds from the Underground』に収められているパワフルな「Haynes Here」(来年100歳を迎えるドラマーのロイ・ヘインズに捧げたのでしょう)から始まり、続いて「Hargrove」(ロイ・ハーグローヴへの追悼)、「When the Days Were Different」、「For Art's Sake」(マイルス・デイヴィスと並ぶギャレットのメンター、アート・ブレイキーへのトリビュート)と、2021年発表のアルバム『Sounds from the Ancestors』からの楽曲がプレイされます。同作に関連する来日公演は行われていなかったので、私は"ようやく、あの盤に入っているモーダルでパワフルな楽曲をナマで聴くことができた"という満足感も得ることができました。

ルディ・バードはコンガ、ボンゴ、ウィンドチャイム、ティンバレス、タンバリン等を鮮やかに使い分けるとともに、ヴォイス(ワードレス・ヴォーカル)でも強い存在感を放ち、その滑らかな節回しはバンドの"第2の管楽器的"な役割を担っているようにも感じられました。ギャレットはアルト・サックスのほかキーボードも演奏し、さらにMCで観客を煽ります。

本編ラストでは、2016年のアルバム『Do Your Dance!』からの「Chasing the Wind」を超アップテンポで演奏。バードを除くカルテットでスタートし、その後ゴンザレス、ホイーラー、 オデの順にレイアウトしていき(演奏から抜けていき)、最後にギャレットが猛烈な無伴奏インプロヴィゼーションで締めくくります。

この構成のかっこよさ、ふたたびメンバーが揃ってエンディングに突進していくときの見事な呼吸、それを受けてのすさまじい拍手喝采、すべてがライヴの醍醐味を感じさせてくれました。公演は15日まで開催。巨匠ギャレットの境地をぜひ、至近距離でご堪能ください!
(原田 2024 10.14)

Photo by Takuo Sato

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【LIVE INFORMATION】

KENNY GARRETT and Sounds From The Ancestors
2024 10.13 sun., 10.14 mon., 10.15 tue. ブルーノート東京
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