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AMARO FREITAS Y'Y

artist AMARO FREITAS

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

2023年の初来日以降、いっそう知名度を高め、ファンを増やしているピアニスト、アマーロ・フレイタスがついに「ブルーノート東京」に登場。昨日から壮大で風通しのよいパフォーマンスを繰り広げています。共演者は"ダニ&デボラ・グルジェル・クアルテート"でも美しい音程と軽快なラインを届けていたアコースティック・ベース奏者のシヂエル・ヴィエイラ、"グルーポ・メンテ・クララ"での活動も印象深いドラマーのホドリゴ・ブラス。誰もがリーダー・クラスに位置する凄腕たちです。彼らが一体となって創造するトリオ・ミュージックを至近距離で味わえるのは、日々の音楽鑑賞生活にサムシング・ニューを求める方にとって最高に魅力的な体験となることでしょう。

オープニングは2021年作品『Sankofa』から、飛び切りダンサブルな1曲「Ayeye」。後乗りのドラム・ビート、音数を抑えたベースのフレーズをバックに、まるでショパンの小品のような歯切れよくも優雅なメロディをアマーロが弾き綴っていくところはアルバムとも共通していますが、徐々にピアノの即興が熱を帯び、シヂエルやホドリゴと触発しあいながら、未知のページを次々とめくるように演奏を発展させていきます。アマーロのプレイは「ピアノがこんなに広い音域を持つ楽器だったのか」と改めて驚かせてくれるに十分なもので、ペダルの使い方も本当にきめ細やか。ラストでは内部奏法(ピアノの弦をハープのように引っ掻く)も聴かせてくれました。先日まで「ブルーノート東京」を沸かせたアメリカ人ピアニストのエメット・コーエンも演奏の随所に内部奏法を取り入れていましたが、こうした特殊テクニックひとつとっても「その人の味」が現れる。それもジャズの面白さといえます。

2016年の作品『Sangue Negro』からの「Samba de César」、再び『Sankofa』からの「Baquaqua」をライヴならではの奔放さを伴って聴かせてくれたあと(アマーロとシヂエルのユニゾン・パートは鳥肌ものでした)、アマゾンの都市マナウスでの経験にインスパイアされた話題の最新作『Y'Y』(「イエイエ」と読みます)からのナンバーがエンディングまで続きました。アルバムはアマーロの単独演奏が基本で、そこに巨匠ハミッド・ドレイク、さらにブランディ・ヤンガー、シャバカ等が加わる形でしたが、ここからのナンバーをいかにシヂエルやホドリゴと共に「トリオ化」していくのか、これは本当に「百聞は一見にしかず」です。私はアマーロのエフェクトの用い方、ヴォイスの美しさ、パーカッションや笛の効果にも大いに惹かれつつ、異世界に転生するような気持ちで3人の濃密なコンビネーションに浸りました。

公演は明日27日まで行われ、最終セット(27日のセカンド)のみ有料インターネット配信も実施予定。ブラジルからやってきたピアノ・センセーションの圧倒的なステージをお見逃しなく!
(原田 2024 10.26)

Photo by Tsuneo Koga


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【LIVE INFORMATION】

AMARO FREITAS Y'Y
2024 10.25 fri., 10.26 sat., 10.27 sun. ブルーノート東京
※10.27 sun. 2ndショウのみインターネット配信(有料)実施予定
※配信チケット販売期間:10.27 sun. 8:00pm まで
詳細はこちら

SET LIST

2024 10.25 FRI.
1st & 2nd
1. AYEYE
2. SAMBA DE ĆESAR
3. BAQUAQUA
4. UIARA ~ VIVA NANÁ ~ Y'Y
5. GLORIOSA
6. ENCANTADOS
EC. VILA BELA

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