2025 1.10 fri., 1.11 sat., 1.12 sun.
MUSIQ SOULCHILD
artist MUSIQ SOULCHILD
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ファースト・アルバム『Aijuswanaseing』とセカンド・アルバム『Juslisen』が共にプラチナム・ディスクに認定。ソロ活動に加え、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの金字塔『Black Radio』や、ロックの重鎮サンタナの『Shaman』にも参加し、13度ものグラミー賞ノミネート回数も持つ鬼才シンガーソングライター&プロデューサーが、ついにブルーノート東京にやってきました。ミュージック・ソウルチャイルド、満を持しての公演です。
2019年と20年に予定されていたステージは延期になっていたので、今回が文字通りの初出演。この日を待ちに待っていたのは、オーディエンスはもちろん、ミュージシャンも同様だったのではないかと思います。しかも、ナズ(昨年のBlue Note JAZZ FESTIVAL in JAPANに登場)の『King's Disease』三部作にも関わっているHit-Boyとのコラボ・アルバム『Victims and Villains』や、やはりナズとのゆかりが深いデイヴ・イーストも合流したシングル「October 31st」が話題のさなか、実にうれしいタイミングでの来日といえましょう。
ステージにはまず、サポート・メンバーが登場します。コーラスもダンスも巧みなチャスティティ・ヒンソン("チャスティティ"名でソロ音源も発表)とブリアナ・ヴォーンのふたり、音楽監督も兼ねるキーボード奏者のコートニー・ドゥワイト、5弦ベースで重低音を響かせるアール・ジョーダン、パッドの用い方も含めて素晴らしくメリハリに富んだ叩きっぷりを聴かせるデショーン・アレン。彼らが奏でる十数小節に触れただけで、「今夜はとてつもなく気持ちよい音に包まれそうだ」との思いがどんどん強くなっていきます。そしてミュージック・ソウルチャイルドが登場するやいなや、場内の熱気はマキシマムに高まります。スクリーンを使ったステージングも実に効果的です。
ワン・セットを通じて、20曲近く披露されたでしょうか。それらは数曲ずつ、いくつかのセクションにわかれ、しかもその各セクションが実にスムーズにつながっているので、個人的には"ミュージック・ソウルチャイルドという壮大な組曲"に触れているような気分になりました。声の張り、伸びはいうまでもなく、女性陣ふたりと共に、曲によって立ち位置をステージ中央・下手側・上手側と移動してのパフォーマンスからは、どの席からも自分たちを近く感じてもらおうという観客への思いも感じられました。もちろん「Halfcrazy」、「I Do」、「B.U.D.D.Y.」、メアリー・J・ブライジとのコラボでヒットした「IfULeave」など代表曲・当たり曲はたっぷりと盛り込まれ、国際色豊かなオーディエンスの間から何度もシングアロングが沸き起こります。ここはフィラデルフィアなのか、それともアトランタなのか?
「極上のショウを全身で目いっぱい浴びた」という快感に体を熱くしながら、私は東京のアスファルトを踏みしめて帰路につきました。そしてミュージック・ソウルチャイルドは、その名の通り、"音楽と魂の申し子"なのだなとの思いを強くしました。あのミュージック・ソウルチャイルドのライヴを、至近距離で体験できる幸せに、ぜひ浸ってください!
(原田 2025 1.11)
Photo by Photo by Tsuneo Koga
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【LIVE INFORMATION】
MUSIQ SOULCHILD
2025 1.10 fri., 1.11 sat., 1.12 sun. ブルーノート東京
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