2025 1.14 tue., 1.15 wed.
SENRI OE TRIO
artist 大江千里
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
"今、このトリオは「第一成熟期」に突入していると思っています。ブルーノート東京に戻ってきて3デイズ公演を行なうことが決まり、バンドの意気はさらにあがっています。最高のセットリストを持って東京に帰って、お客さんとキャッチボールをしているような楽しいステージにしていきたいですね"
昨年末におこなったインタビューで、大江千里はこう語ってくれました。そして今、彼は、マット・クロージー(ベース)、ロス・ペダーソン(ドラムス)とのトリオで日本ツアーを行ない、ブルーノート東京で会心のライヴをおこなっています。"誰が欠けても、このサウンドはあり得ない"という言葉通りの、3人のミュージシャンによる小気味よい音の会話が、満員の会場に響き渡っています。オープニング・ナンバーの「Boys Mature Slow」から、それぞれのソロがフィーチャーされて、大江千里の曲作りやプレイはもちろんのこと、誰もがマットやロスの確かな技量にも引き付けられること間違いなしの展開が続くのです。
ニューヨークの話題や、今回の日本ツアー中のエピソードなどを盛り込んだMCをはさみながらの、実に楽しいステージ。未来を見据えながら、いっぽうで原点回帰もしているといえばいいのでしょうか、ジャズ・ピアニストとしてのデビュー作にあたる『Boys Mature Slow』からのナンバーが、前述したタイトル曲、「Tommy Who Knew Too Much」、「HighLine Bash」、「P.N.D. (Peace Never Dies)」と、プログラムの約3分の1を占めていたのも印象深いものでした。「竹林をぬけて (Bamboo Bamboo)」における、アコースティック・テクノと呼びたくなるようなアレンジの面白さ。観客も手拍子で参加するパワフルなパートと、ボサ・ノヴァ風の軽やかな展開の対比が冴える「Bikini」も、実にライヴ映えするナンバーです。ダーシー・ジェイムズ・アーギューのラージ・アンサンブル"シークレット・ソサエティ"やデイヴィッド・ワイス率いる"ポイント・オブ・ディパーチャー"などにも在籍経験のあるマットの骨太の音色と美しいイントネーションは、ピアノとベースのユニゾン・パートがある「きみと生きたい (I Wanna Live With You)」で特に冴えわたり、メリッサ・アルダナとの共演やスナーキー・パピーのツアー参加経験もあるロスは前述「Bikini」で大きな喝采を浴びました。
大江千里トリオの公演は本日まで続き、16日は1960年代から活動するヴォーカリスト、森山良子を迎えた"森山良子 with 大江千里トリオ"名義によるステージが繰り広げられます。発表されたばかりの話題作『Life is Beautiful』の世界がライヴで味わえる機会でもあり、こちらも見逃すことができません(セカンド・ショウは有料配信あり)。SENRI JAZZは、2025年も多くの人々を魅了しながら発展していくことでしょう。
(原田 2025 1.15)
Photo by Takuo Sato
―――――
【LIVE INFORMATION】
▶︎大江千里トリオ
2025 1.14 tue., 1.15 wed. ブルーノート東京
▶︎森山良子 with 大江千里トリオ
2025 1.16 thu. ブルーノート東京
※2ndショウのみインターネット配信(有料)実施
※配信チケット販売期間:1.16 thu. 9:00pmまで
※アーカイブ配信視聴期間:1.18 sat. 11:59pmまで
coming soon