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2025 3.1 sat., 3.2 sun., 3.3 mon.
RHIANNON GIDDENS & FRANCESCO TURRISI with special guest KAORU WATANABE
artist RHIANNON GIDDENS
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
音楽の奥深さ、豊かさ、喜びをじっくりと伝える圧巻のステージが始まりました。リアノン・ギデンズとフランチェスコ・トゥリッシの公演です。当初は2020年3月に開催が予定されていたものの、パンデミックのため延期に。しかし、ふたりは約束を忘れていませんでした。今ここに、5年の歳月を経て、日本のファンに極上のパフォーマンスを届けているのです。
リアノンはヴォーカルはもちろんのこと、フレットレス・バンジョー(1858年製モデルのレプリカ)、フィドルでも卓越ぶりを示し、トゥリッシはピアノ、アコーディオン、ダフ(イランの太鼓)で存在感を発揮します。多種多彩なパーカッションや、横笛の幽玄な響きでサウンドに彩りを付け加えたのは、リアノンがアーティスティック・ディレクターを務める"シルクロード・プロジェクト"の楽団"シルクロード・アンサンブル"の一員でもある渡辺薫です。シルクロード・アンサンブルは先日、リアノンとのコラボレーション・アルバム『American Railroad』を出したばかり。実にいいタイミングの、とても嬉しいスペシャル・ゲスト・アピアランスといえましょう。そして3人より少し下がった位置ではジェイソン・サイファーが、まさに"厳選を重ねた音"としか表現しようのない的確なアコースティック・ベース・プレイを行ないます。これまでクラレンス・ゲイトマウス・ブラウン、アーマ・トーマス、レオン・レッドボーンなどのサポートを務め、リアノンとは2014年から共演。時にスラップ奏法も交えながらのプレイは圧巻でした。
私が足を運んだ初日ファースト・セットのセットリストは、2019年リリースの『There Is No Other』や第64回グラミー賞最優秀フォーク・アルバムに輝いた2021年作品『They're Calling Me Home』といったリアノンとフランチェスコの共作アルバムからの楽曲はもちろん、2017年のアルバム『Freedom Highway』からの「Following the North Star」、2021年の"JAZZ AUDITORIA ONLINE"で披露され、その美しい日本語歌唱でファンの心を震わせた「思ひで」(18世紀のアイリッシュ・バラッド「A Pretty Girl Milking Her Cow」に、鈴木常吉が日本語詞をつけた)、ミシシッピ・ジョン・ハートやジョニー・キャッシュも歌ったプロテスト・ソング「I Shall Not Be Moved」など、"自分の音楽はエクレクティック(折衷的)である"というリアノンの言葉通りのものでした。
彼女はほぼ1曲ごとに、それぞれの曲にどんな歴史があり、どこで生まれたのかを簡潔かつ丁寧に説明してから、パフォーマンスに取り組みます。リアノンが持つ音楽への真摯な姿勢、多彩な楽曲を一つのライヴの中でまとめあげる歌声の力、そしてメンバー全員の息の合ったやりとりに、誰もが時間を忘れて没頭させられたのではないでしょうか。至高の公演は3日まで続きます。
(原田 2025 3.2)
Photo by Tsuneo Koga
coming soon