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Celebrate "International Jazz Day" with JOHN SCOFIELD SOLO @COTTON CLUB

artist JOHN SCOFIELD

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

カリスマ的支持を誇る重鎮ギタリスト、ジョン・スコフィールドの来日公演はいつもワクワクさせてくれます。しかも今回は、対照的ともいえる、2種のフォーマットによるライヴ開催です。本日「ブルーノート東京」で行われるのは、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ にスペシャル・ゲストとして参加するパフォーマンス。スコフィールドとオーケストラの相性の良さは2009年録音のアルバム『54』(メトロポール・オルケストとの共演)に捉えられている通り、期待はつのるばかりです。いっぽう、30日と5月1日はソロ・ギターによる公演が行われます。ECMレーベルから発売されて大好評を得たセルフ・タイトル作品『ジョン・スコフィールド』の世界が、目の前で解凍されていくさまに立ち会うことができるのです。

私は昨日、「コットンクラブ」で開催されたソロ公演に足を運びました。ステージには2台のアンプ、そして椅子、足元にはペダル。コットンクラブのバンドスタンドが、本当に広く感じられます。スコフィールドは愛器と共に登場し、実に無造作に演奏を始めます。そしてルーパーを駆使しながら、ソロなのだがアンサンブルでもあるという、なんとも興味深い世界を作っていきます。一定のパターンをコード弾きして(主にピックを使わず、親指で)、それを再生しながら自由自在にアドリブを重ねてゆくスコフィールドの表情は本当に気持ちよさそうで、時おり自分のフレーズに合いの手を入れるように声を発するのですが、それがまた聴く側のテンションを高めてくれます。このままフィンガーピッキングで続けていくのかなと思ったら、すかさず指の間からピックを出してピック弾きで音色を変化させていくあたりは、ふと故ジョー・パスのプレイをも思い出させてくれました。パスは"ソロ・ギターによるジャズ"の面白さを広く知らしめた、伝説的なギタリストです。

レパートリーは「Solar」(ジャズ・ギター好きにはチャック・ウェイン作「Sonny」と記した方がいいでしょうか)、チャールズ・ミンガス作でジェフ・ベックも演奏した「Goodbye Porkpie Hat」などモダン・ジャズ・ナンバー、60年代のヒット・ポップス「Wichita Lineman」、スタンダード・ナンバーの「There Will Never Be Another You」(スコフィールドはギターを弾きながら歌詞も語りました)、バディ・ホリーが歌いローリング・ストーンズがカヴァーした「Not Fade Away」など『ジョン・スコフィールド』のなかから幅広く選曲、さらにアルバム未収録の「Blue In Green」も聴かせてくれましたが、これがまた実に好奇心をそそられる仕上がりでした。ループにぶっ込んだコード弾きを逆再生して、その、まるでパイプ・オルガンのように変化した響きをバックに、うねうねと、漂うような即興を単音フレーズで届けるのです。その指使い、ペダルを踏む足の動き、「魔術にふれた」という実感が、ここにはありました。ラストはループを省き、音量を思いっきり抑えてのバラード「Alfie」。スコフィールドの持つ豊かな歌心の余韻に包まれたまま、誰もが笑顔で会場をあとにしたのではないでしょうか。

ブルーノート東京への登場は本日29日から。お見逃しなく!

(原田 2025 4.29)

Photo by Tsuneo Koga

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【LIVE INFORMATION】

4.29 tue. ブルーノート東京
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA 
directed by ERIC MIYASHIRO 
with special guest JOHN SCOFIELD
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4.30 wed., 5.1 thu. ブルーノート東京
Celebrate "International Jazz Day" with
JOHN SCOFIELD SOLO
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